神聖ローマ帝国の主な構成国(領邦)一覧

神聖ローマ帝国って、見た目は“ひとつの帝国”なのに、中身をのぞくと小さな国や都市の集合体だったんです。
いわゆる領邦国家のデパートみたいな存在で、「帝国」という名前とは裏腹に、皇帝の命令が届かない場所もゴロゴロありました。
この記事では、そんな神聖ローマ帝国を構成していた主な領邦――つまり「中の人たち」――を、ジャンル別に整理してご紹介します!

 

 

神聖ローマ帝国の構成

ひとくちに「構成国」と言っても、神聖ローマ帝国では、その領邦の規模も種類もバラバラ。 下記のように大別される勢力が帝国内にひしめいていました。

 

主な領邦の分類
分類 概要
世俗諸侯 公爵、伯爵などの領主が治める地方勢力 バイエルン公国
聖界諸侯 大司教や修道院長などの宗教指導者が支配する領地 マインツ大司教領
帝国都市 皇帝直属で自治を認められた都市国家 ニュルンベルク
選帝侯国 皇帝を選ぶ権利を持つ特別な領邦 ザクセン選帝侯領

 

 

世俗諸侯:ほぼ独立国

皇帝の代わりに実質的に地域を治めていた“実力派”領邦です。
どれもほぼ独立国レベルの権力を持っていました。

 

領邦名 地域 特徴
バイエルン公国(選帝侯領) ミュンヘン周辺(現ドイツ南部) 神聖ローマ帝国の中でも最大級の世俗領邦。後に王国へ。
ザクセン公国(選帝侯領) ドレスデン周辺(現ドイツ東部) 文化・宗教・軍事の要地。宗教改革でも重要な役割を果たす。
ブランデンブルク選帝侯領 ベルリン周辺(後のプロイセンの核) ホーエンツォレルン家が支配。のちのプロイセン王国の母体。
オーストリア公国/大公国 ウィーン周辺(現オーストリア) ハプスブルク家の本拠。皇帝位をほぼ世襲し、帝国の中心的存在。
ライン宮中伯領(プファルツ) ライン川中流域 選帝侯のひとつ。カトリック・プロテスタントの間で重要な役割。

 

聖界諸侯領:教会の国

神聖ローマ帝国では、教会関係者も“領主”として力を持っていました。
宗教と政治ががっつり絡んでいた時代の象徴ですね。

 

領邦名 地域 特徴
マインツ大司教領 マインツ(現ドイツ西部) 選帝侯にして帝国最高位の大司教。皇帝戴冠の司式も担当。
ケルン大司教領 ケルン 選帝侯。ライン地方の要所を押さえ、宗教権威も強大。
トリーア大司教領 トリーア 選帝侯の一人。古代ローマ時代の都市を基盤に影響力を保持。
ザンクト・ガレン修道院領 現スイス東部 修道院が実質的に都市と領地を支配。宗教と経済のハブ。

 

自由都市・帝国都市:自治の星

都市国家として独自の政治を行った都市たち。商業や金融で力を持ち、帝国議会でも発言権を持っていました。

 

都市名 地域 特徴
ニュルンベルク バイエルン北部 帝国議会の開催地。工芸と商業で繁栄。
アウクスブルク バイエルン フッガー家など大富豪が活躍した金融都市。
フランクフルト・アム・マイン ヘッセン 皇帝選出の都市。商業と儀式の要所。
ハンブルク 北ドイツ ハンザ同盟の拠点。事実上の都市国家。
リューベック バルト海沿岸 “ハンザの女王”とも呼ばれた貿易都市。

 

神聖ローマ帝国の“中の人”たちって、ほんとに多種多様。
世俗の大国、教会の領主、商人の都市国家がいっしょに帝国を形づくってたって、ちょっと信じられないですよね。
でもそのバラバラさが、逆に帝国の魅力――「多様性の実験場」だったとも言えるんです!