
神聖ローマ帝国って、一見すると皇帝がドン!と君臨してるイメージあるかもしれませんが、実はたくさんの役職や官職があって、それぞれに権限・伝統・象徴性が割り振られていたんです。
とりわけ、帝国が「連邦的な構造」だったこともあって、役職のバランスってすごく重要だったんですよ。
今回は、そんな神聖ローマ帝国における代表的な官職や重要な役割をまとめてご紹介していきます!「帝国ってどう動いてたの?」が少し見えてくるかも。
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帝国の運営を語る上で欠かせないのが、皇帝を選ぶ“選帝侯(せんていこう)”という役職。これはまさに帝国のキングメーカーでした。
1356年に発布された金印勅書によって、皇帝を選ぶ権利を持つ7人の「選帝侯」が制度化されました。内訳は以下の通り:
この7人が、皇帝の即位に絶対不可欠な「投票者」としての権威を持っていたんです。
選帝侯はただ皇帝を選ぶだけじゃありません。それぞれが帝国の中で象徴的な“儀式職”も持っていました。たとえば:
といった具合です。ちょっと不思議な役名ですが、これは儀式や序列において重要な役割を果たしていた証です。
神聖ローマ帝国には、「皇帝の宮廷」で働く形式的な高官職もいくつかありました。これらは儀礼の世界での格式や序列を示すものでもありました。
もっとも格式高い役職のひとつが帝国宰相で、伝統的にはマインツ大司教が兼任。
帝国の重要な外交文書・勅令などに関わる、まさに帝国の“筆頭官房長官”といえるポジションでした。
帝国文書の起草や記録の保管を担当する実務官。
外交や内政における文書行政の中枢を担っていて、現代でいう官僚的なトップのような存在です。
税の徴収や財政管理に携わる役職。とくに帝国税(ライヒスシュタイア)の取り扱いや、戦時の軍資金調達に関わっていました。
帝国は「皇帝の独裁」ではなく、各地の諸侯や都市が参加する帝国議会という制度で動いていました。そこに出席する人たちも、立派な“官職持ち”だったんです。
帝国議会で票を持つ貴族たちのこと。彼らは一国一城の主でありつつ、帝国の政策決定にも関与する“立法権を持つ領主”でした。
選帝侯だけでなく、他の公国や侯国の君主たちも含まれていました。
直接皇帝に従属する自由都市の代表者たち。商業都市の声も議会に届けられていたことから、帝国の多様性がうかがえます。
現代でいうと、いわば「国会の自治体枠」みたいな感じですね。
帝国議会は、構成員によって以下のように三つの“身分団体(クル)”に分かれていました:
この三部構造によって、それぞれの“身分”が帝国にどう関わるかを調整していたんですね。
皇帝や議会とは別に、戦争や法の分野でも帝国は独自の職制を持っていました。
非常時に帝国軍を指揮する官職。とはいえ、常設の軍があったわけではないので、連邦軍的な位置づけでの調整役が求められました。
1495年以降に設立された帝国最高裁とも言える裁判所。帝国全体の紛争解決を担い、各地の諸侯や都市から推薦された判事によって構成されていました。
神聖ローマ帝国の官職は、ただの「お飾り」ではなく、それぞれが帝国という複雑な連合体を支える大事なパーツだったんです。
皇帝の一存では動かない仕組みのなかで、選帝侯、諸侯、自由都市、そして宮廷官職たちがバランスを取り合いながら、帝国をなんとか成り立たせていた――そんな“組織としての知恵”がそこにはあったのです。